キチンの波(アメリカ経済学者キチン)
景気の循環につきものなのは、在庫投資である。
資本主義経済の波を代表するものとして「キチン循環」と呼ばれる波がある。
平均約40か月と言う短期の経済の波である。
キチンは、アメリカ・イギリスの卸売物価・利子率・手形交換高の変動を分析して、
ジュグラーの波(
10年前後の経済の波)よりかなり短い、
最短
2年、最長6年、平均3年半(3-4年)の経済の波があるのを発見した。
これは、在庫投資の循環と見る見方が一般的である。

企業の手元に過剰在庫が発生する。その調整が必要となり、
生産水準を一時的に落として在庫を減らす。
そして、在庫が適正水準位置までになると生産を増やす。
そうすると、景気が良くなるから在庫も増やす。
そして、やがて過剰在庫が発生する。
その間およそ
40か月となる。



これが、供給と需要の不一致である。











供給と需要の不一致
市場経済において景気の善し悪しを決める根本のものは、
供給と需要の関係である。

供給が需要を下回れば、供給側は供給を増やすことができる。
そのことによって収益も増えるから景気は良くなる。
逆に供給が需要を上回れば、
供給側は供給を減らさざるを得ず、
収益も減り景気は悪くなる。


企業業況で言うと、過剰在庫は、
費用発生源の根本となる源である。


@廃棄処分をしなければならない場合もある。

A金利を支払わなければならない。

B流行遅れが生じ、販売に結合しない。

C時間の経過とともに売却できなくなり、廃棄処分の対象となる。

D在庫費用が増大する。

E出し入れの手間・管理費用の増大。

F棚卸し業務時間の増大・費用の発生。

G無理な販売による祖利益低下。

H資金繰りの圧迫・不利益な仕入れ。

I長期在庫による売れ筋落の発生。

J社内管理出来ず、外部倉庫管理による費用の発生。

K新製品販売のチャンスの失望。



このように、在庫増加は、
供給と需要との不一致でデメリットが非常に大きい要因である。








在庫投資による景気循環
供給と需要の不一致、その波を象徴的に示すのが在庫投資の動きである。
供給と需要との関係は、財について見れば、まず在庫の動きとして現れる。
供給が需要を下回れば、供給者は、手持ち在庫を減らすことによって、
需要を充足させようとする。

次に、生産を増やすことによって減らした在庫を充填する。
その過程で景気が良くなり、需要が一段と増加すれば、
それに応じて在庫も増やさなければならない。


こうして景気拡大の過程は、同時に在庫投資を増やしていく過程でもある。

次に供給が需要を宇和待ったとすれば、
それは、供給者の手元に売れ残り品=在庫増と言う形で現れる。

供給者としては、この過剰在庫の調整が必要であり、
それは、供給者に需要量以下に生産量を抑えることを要請する。
その生産量の抑制の下で景気が後退し、需要量がさらに減少する。
減少以上に生産量を減少させれば、在庫量は減少する。
その努力の下で必要在庫量も減少し、
いつかは、在庫量が必要在庫量と一致する。




これが、在庫調整の終了である。



そして、景気の回復が始まる循環となる。




このような理論で、最も短い景気の波は、
在庫投資の循環であり、キチンの波が在庫投資循環と言われる所以である。








供給の特徴
供給の多くは、注文を受けてのものではなく
「これだけ需要されるだろう。」という供給者の予想(期待)に基づいて
供給されることが多い。
しかも、供給者が意思決定をしてから財・サービスが市場に供給されるまでには、
一定の期間がかかるから将来予測と言うことになる。
また、供給者は、多数であり、それぞれが独立して意思決定を行うから、
供給の総量については、誰も知り得ず、供給総量は後に結果として表れる。




こうして、市場における現実の供給は、
個々の供給者の将来の需要に関しての予測の総和である。
それが、市場で現実的に需要と出会い、需要者(家計・個人・企業・
政府・海外の需要者も含む)の経済状態や嗜好等を反映したものである。




つまり、供給と需要との不一致は、
市場経済において筆年的に絶えず生じるものであるが、
一致させるには、需要者と供給者の調整によるものが大きい。








不一致の調整
経済学では、需要と供給との不一致は、
価格が上下することによって調整される。

供給が需要を下回れば価格が上がることによって需要が抑止されて
需要は一致する。また、
供給が需要を上回れば供給者が
価格を下げるから新しい需要が喚起されて需給が一致する。


多くの場合、供給者は、供給量を増減させて需給の均衡を図ろうとする。
すなわち、供給が需要を下回る場合、
供給量を増加させて超過需要を吸収しようとする。

値上げよりも供給増を選ぶのは、
多くの場合、値上げにはリスクが伴うからである。

値下げしてその調整を図る場合、
供給者の側に抵抗もあり、限界もある。

値下げは当然のこととして供給者の利益を減らす。
供給の一定の費用がかかっている以上、
その費用は回収したいと考えるからである。

加えて、値下げすることによって、どれほどの新しい需要を喚起できるか?
その効果について、確信がもてないことが要因にある。



したがって、供給者は、多くの場合供給を減少させることによって対応し、
それを需要に一致させようとする考え方である。




最近の傾向としては、アベノミクスにより、過去の現実的認識不足(地方創生現場認識不足 )による
構造改革の考え方に
,現実的な認識が配慮されており、
金融行政改革により、銀行は、
新商品開発などによる経費率・収益力の改善、
不良債権の最終処理後、公的資金を早期完済するまでとなり、

銀行に対する不信感が信頼されつつある期となった。(
SCG GROUP社)












では、アベノミクスとは何か?調査してみよう。









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